マンションを売却した場合に発生する税金の種類や節税方法まとめ
不動産の売買2020.03.15
マンションを相続した場合、自分で住んだり、誰かに貸したり、さまざまな扱い方がありますが、売却するのも1つの方法です。ただし、売却時には税金が発生します。そこで本記事では、相続したマンションを売却した際に発生する税金の種類や節税方法などを解説します。相続したマンションをできるだけお得に売りたい方はぜひ参考にしてみてください。
相続したマンションを売却する際かかる税金の種類
まずは、相続したマンションを売却する際、一体どのような税金がかかるのかから見ていきましょう。マンション売却時に発生する税金の主なものは、譲渡所得税、復興特別所得税、住民税です。これらは相続に関わらず、不動産を売却した際にかかる税金です。
譲渡所得税(及び復興特別所得税)
譲渡所得税は、マンション(不動産)を売却したときに生じた利益に対してかかる税金です。
譲渡所得の税額を計算するためには、まず譲渡所得を算出する必要があります。譲渡価額から取得費と譲渡にかかった費用を減じた金額が譲渡所得です。譲渡価額は不動産の売却価額のことです。
取得費は、相続した不動産を最初に取得したときの金額のことですが、土地と建物でやや考え方が異なります。土地の場合は購入額、建物の場合は購入額に減価償却率を反映させた金額になります。譲渡にかかった費用は、不動産の譲渡を行う際の準備や手続きなどに要した経費のことを指します。
税率は不動産を所持していた期間の長さによって短期・長期にわかれます。5年超所有していたなら長期で30%の税率、5年以下なら短期で15%の税率です。もし譲渡所得がマイナスになった場合は課税できる金額が存在しないため、譲渡所得税も発生しません。納付は確定申告の時期に行います。なお、復興特別所得税として、申告した所得税額のさらに2.1%を税金として納める必要があります。
住民税
住民税も課税基準になるのは譲渡所得です。譲渡所得税と同じく短期・長期で税率が変わります。長期が9%、短期が5%です。なお、住民税は単独での申告は必要なく、確定申告を行えば自動的に計算され、6月頃に納税通知が行われます。
相続したマンション売却時の節税方法
できる限り税金は低く抑えたいものですよね。それでは、相続したマンションの売却時に発生する各種税金を節税するための、さまざまな方法をご紹介します。節税のポイントは控除です。
居住している不動産の3,000万円特別控除
もし相続したマンションに住んでいるなら、3,000万円の特別控除を受けられる可能性があります。控除対象になれば、譲渡所得から3,000万円を控除することができるため、税額をゼロもしくはかなり減額することが可能です。なお、そのマンションが住居として認められるためには、自宅として一定期間居住している必要があり、節税対策として一時的に居住したり、住民票を移したりといった場合は認められないので注意が必要です。
10年以上所有している居住用不動産の軽減税率
居住用不動産で、かつ10年以上所有している場合は、軽減税率を用いることが可能です。この税率は、先に紹介した居住用不動産の3,000万円特別控除と併用することが可能です。併用した場合、譲渡所得の6,000万円以下の部分に関しては所得税が10%で住民税が4%、6,000万円を超える部分に関しては所得税が15%で住民税が5%になります。
買換え特例
居住している不動産を売却し、新たな住居用の不動産を取得する、いわゆる買い換えを行う際に受けられる特例もあります。譲渡所得が買い換えした不動産の購入額より低い場合、所得税を繰り延べすることができるというものです。受けるためにはさまざまな要件をクリアする必要はありますが、売却価格は1億円以下であれば当てはまるので、かなり幅広い金額に対応できるところがポイントです。
ただし、あくまで繰り延べなので税金が課税されないわけではなく、いずれ買い換え後の不動産を売却する際、繰り延べ分も合わせて課税されることになります。また、この買い換え特例は先に述べた居住用不動産の3,000万控除及び10年所有の軽減税率と併用することはできないため、注意が必要です。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
マンション(不動産)を相続した際、相続税を払っているなら、その取得税を譲渡時にかかった費用として計上できるという特例もあります。
ただし、譲渡するのはマンションの相続税の納期限翌日から3年以内でなければなりません。相続税の納期限は基本的には相続が発生してから10か月後(場合によっては延長あり)です。つまり、おおよそ相続発生から3年10ヶ月以内の譲渡が対象となります。
小規模宅地等の特例
相続したマンション(不動産)の相続状況などが一定の要件を満たしていた場合、不動産のうち土地の部分を課税対象から外すことができるという特例です。なお、相続税の申告期限まで相続した不動産を所有していることが要件の1つとされています。よって、相続税の申告期限より前に売却してしまうと、この特例は受けることができないので注意が必要です。
マンションを相続する際の注意点
相続したマンションを売却する際に節税する方法を説明しましたが、相続する時点で意識しておきたい注意点もあります。特に気を付けたいポイントについてご紹介します。
マンションを共同名義にしない
相続人が複数いる場合、不動産は分割の仕方が難しい財産でもあります。物理的に分割するのはあまり現実的ではないため、取り敢えず複数名で相続し、共同名義にすることも考えられるでしょう。しかし、共同名義にするということは、その不動産に関し決定権を持っている人が複数いるということ。すなわち、マンションの売却に関し、大きなことから小さなことまで、決定するためにはそのたび名義になっている全員に確認を取らなければならないということです。これは非常に手間も時間もかかります。
回避するための方法は、誰か1人が相続することです。例えば相続財産として1,000万円のマンションがあり、同じ立場の相続人が2人いるとすれば、どちらか1人がマンションを相続し、もう1人の相続人に半分の500万円を自分の資産の中から現金で渡して分割する、というような方法もあります。
速やかに相続の手続きを進める
相続財産としてマンションがあるとわかったら、売却するにしても投資用として活用するにしても、まずはすぐに手続きをスタートさせることが重要です。現金は多少時間が経ってもその価値が変わることはあまりないものです。しかし不動産、特に建物は違います。マンションのような建物は、時間が経つと劣化すると考えられることから、基本的にどんどん価値が下がっていきます。つまり、いざ売却などを使用したときに、価値が下がった状態では高額での売却が見込めない可能性が出てくるのです。また、節税のために利用できる控除・特例などの中には、譲渡の期間などが要件として定められている場合もあります。そのままマンションを放置していると、みすみす控除を受けられるタイミングを逃してしまうかもしれません。節税をするなら、十分な情報と手続きに必要なものを準備し、早めに動くことが大切です。
相続したマンションを売却したときの節税方法はさまざま
マンションを相続した場合、用途や所有年数、売却価格などによって、要件に当てはまればさまざまな控除が受けられ、節税に繋がります。不動産は大きい金額が動くことも多く、発生する税金も高くなりがちなので、少しでも税額を抑えたいものですよね。マンションなど不動産を相続し、売却を検討する際は、この記事でご紹介した内容を参考に、お得に節税してみてください。
この記事の著者・監修者
三浦総合法律事務所は、ビルのテナントに対する明渡請求・賃料増減額請求等の不動産法務を専門とし、最近では、不動産問題に関する豊富な経験を活かし、一棟マンションや商業ビルの収益改善・不動産再生業務に特に力を入れております。
三浦祐介 略歴
平成19年3月明治大学法科大学院卒業
平成22年1月第二東京弁護士会に弁護士登録(新62期)野田総合法律事務所・第二室入所
平成28年11月当事務所設立
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